• Nostalgia「少女蓮花」「しるヴィーのしっぽ」

 今回が初チェックとなった、村雨 瞭さんの個人サークル。今年の夏コミリリースだったオフセと、それに関するコピー誌をゲット。「少女〜」はweb上で展開している作品のオフセット版。架空世界の倭国の「華殿」という宮殿を舞台に、囚われの身の少女たち(政治的人質)の生き様を描いている作品です。今回は明るく心優しい、しかしちょっとおバカな伝説の侍の末裔多寡子と、新たに囚われの身となった大帝国のワガママ王女シルヴィーとのエピソード。多寡子のドジっ子っぷりもなかなかなれど、高貴なワガママ娘の典型的な萌えっぷりを披露してくれてるシルヴィーがヤバいっす。金髪碧眼で見目麗しく不遜な態度、ワガママで感情的なんだけどガラスのハートという、由緒正しいお嬢キャラ。あぁ思いっきりなじられてぇ・・・<最悪。「しる〜」は「華殿」の補足コピー誌。ジャケと折込ポスターの猫耳シルヴィーたんハァハァ。
 しっかし村雨さんて同人だけの人なのかね。こんだけ達者な萌え絵とemoい話が描ける作家なんてそうそう見当たらないんですが。何気にえちぃ着物のデザイン(アンミラちっく)とかもポイント高いし、いろんなイミでツボを心得てます。ヴォリュームもあって(後半白いのはご愛嬌。話が面白いから気にならないし)文句なくオススメな1冊。こんな作品に出会えるんだから、やっぱコミティアは掘り甲斐があるよな。

  • ハイヴリッド「ハイヴリッドミンチ」「ハイヴリッド ドットコム」

 掛川タキヲンさん、川崎ショーエイさん、神村秀次郎、ちーさんの4人からなる創作系サークル。「ミンチ」は文字どおりミンチをお題にした作品集。掛川さんは島本和彦チックな投げっぱなしテイストがイカす。川崎さんは軽くブラック&下品。ド直球なネーミング・センスが光る。ちーさんはリアル風味で抑えたトーンで展開しつつも何気にアホな作品。「○ンチ」と表記してるせいでイメージ刺激されまくり。トンチ効いてます。神村さんはシリーズものの学園4コマ。G=ヒコロウ風味なやりっぱなし系。「ドット〜」は無料配布の近況マンガ。4者4様の個性があっていつも楽しませてくれます。個人サークルで活動されてる方もいらっしゃるので、そっちもチェックしてみて。

  • ハルトモ「ONE SET」

 春野友矢さんの創作系個人サークル。4人の女のコたちを中心に描かれる学園ドタバタコメディ。このテの作品ってあずまんが以降増殖しましたが、この作品はその影響下にはなく、暴力的なツッコミが魅力的な投げっぱなし系。こういう勢いとテンポで畳み掛けるスタイルって好きなんだよね〜。女のコが可愛く描けてるんでツッコミ時とのギャップも映えてて、もっと読みたくなるナイスな一本。もう少しキャラ毎の個性がエクストリームになっていけば、もっと面白くなりそう。このテのノリが好きなら要チェック。

  • BRASS「神奈川県軍vol.11〜17」

 千洋少佐さんのサークルの本をまとめ買い。今回のティアズマガジンのカットのコメントを読んでピンときたので一気に買って読んだんですが、これがなかなか。架空近未来日本が舞台で、11歳の夏にF-104と出会った少女が6年越しで機体を組み立てていきいよいよエンジンを残すのみ、というところからドラマが動き出していきます。2000年の夏から続くシリーズで、目下の最新刊は今年の夏コミリリース。メカの魅力は勿論なんですが、主人公の赤星慧子のカッコよさにもシビれます。どんな障害をも乗り越えていく折れない心っぷりに乾杯。絵柄的にはちょっと米村孝一郎入ってるかも。読み応えがある力作なんで、気になった方は是非。

 cyonさんの個人サークルでは夏コミリリースのコピー誌を入手。お馴染みのメイドさんシリーズとゲスト原稿(濫造舎の近衛騎兵さん)で構成。ここのメイドさんのシリーズは絶品なんですよ。所謂萌え系ではないのですが(や、あるイミ萌えるんですが)とにかくテンポと間とノリが良いナイスな4コマ。独特のテキスト・センスも光ってるし、ホント面白いっス。過去のシリーズをコンパイルした作品もリリースされてるんで、是非一度ご覧になっていただきたい。きらら系好きなら必読でしょう。オススメです。

  • 法月堂「御伽説」「狂國誌」

 真崎秋彦さんの個人サークルでは2冊ゲット。「御伽説」は童話や寓話風味な短編集。キャラは若干頭身低めの愛らしい造形なんですが、タイトルどおりちょっとシニカル且つgloomy風味(往々にして御伽噺や童話なんかは残酷だったりする)でまずまず。「狂國誌」は今年5月のコミティアでリリースしたコピー誌に書き下ろしを加えてオフセット化した作品。古代中国を舞台に、女軍師とショタ豪傑を中心に描く乱世もの。シリアスから4コマギャグまで網羅した広レンジな作風。ともすれば暗くなってしまいがちな作風だが、絵柄が前述の様に頭身低めなんでオブラートの効果を果たしている。全体的に無国籍風味なところも面白く、悪くない印象。ちなみにこのサークルでもオリジナルの封筒に本を入れてくれました。価格も安く、そういった姿勢は評価されるべき。

  • MEKONGDELTA & DELTAFORCE「密〜hisoka〜」「密〜hisoka〜-鄱・旅-」「NEXT"C"vol.4&5」「EXTRA"C"vol.6〜8」

 安定したリリースを続けるMEKONGDELTAはそれなりのキャリアを誇るサークルであるが故に構成メンバーが若干入れ替わったりしてます。現在はぜんきさんとRoute39さんのサークル。パロディからオリジナルまで幅広いフィールドで活動しており、イヴェント毎に必ず何がしかの新刊をリリースしているので、必然的に大量の本がリリースされてしまい、なかなか全てを捕捉しきれない状態。今回もとりあえず面倒だから片っ端から買ってきたのですが、何冊かは既に入手済みだった罠w。「NEXT〜」「EXTRA〜」シリーズはテーマがあったり無かったりするラフ・イラスト・コピー誌。結構テキストなんかも含まれていて、ただの落描き本じゃないところが高ポイント。
 ここで訂正とお詫び。。「NEXT〜」と「EXTRA〜」シリーズをごっちゃにしてました。それと「EXTRA〜」のvol.6にはNNZ団さんも参加してました。初歩的なミスで申し訳ない。
 「密〜hisoka〜」は未亡人の母とその娘、そして母を囲っている叔父、その3人の背徳感溢るる愛憎劇。貞淑で良き母を演じる、優しくも弱い母。そんな母を愛しながら、しかし女としての対抗心・嫉妬心が芽生え始める娘との今後の関係が楽しみな淫靡さ満点の官能作品。ページ数の割にはイラスト成分多めですが、満足いく仕上がりです。抑制の効いた上品な風味も芳しいシックなシリーズ。オススメです。